仏教をよりよく知るため:その25
仏の智慧は、私たちに何を教えてくれようとしているのか?
キーワード:方便(ほうべん)
すべての人々を仏の道に近づける手段方法のことである。
サンスクリット語では、「方便」のことをウパーヤという。近づくとか到達するという意味だ。英語のアプローチと意味が似ている。
『法華経』の「化城喩品」には、こんなたとえ話しがある。
砂漠と密林のはるかなたの宝の国を目指して出発した隊商の一団があった。目的地はまだずっと先のほうである。一同はしだいに疲れてきた。そこで、リーダーは砂漠の中に幻の城をつくり、「諸君、あそこが目的地だ。がんばれ」と励まし、化城で休ませ、勇気づけながら、再び出発し、ついに目的地に到達させた。
こうした手段を方便というのである。「うそも方便」ということばがあるが、単なる一時しのぎの手段ではなくあくまで、心弱い人々を悟りに導くための方法をいうのである。
キーワード:菩薩(ぼさつ)
菩提薩埵を省略した言い方である。
サンスクリット語のボーディサットヴァの音訳で、「覚有情」 「大士」 「開士」 などと訳されている。
初期仏教では、前の世の生涯における釈尊の呼称であった。本生菩薩とか釈尊菩薩ともいっている。大乗仏教になると、みずからの悟りの智慧を求めるとともに、他の人々を悟りに導く者を菩薩というようになった。つまり、菩薩は仏となるべき修行を終えていながら、人々を救うために、あえて仏にはならない人とされ、大乗仏教徒の理想像とされたのである。
したがって偉大な仏教の学者や高僧にも菩薩の尊称を用いている。龍樹・無著・世親などの菩薩、行基菩薩、日蓮大菩薩、などである。
菩薩には、だれでもなれるというが、大乗仏教の考え方である。ただ、「ボサァーッ」としているだけでは、菩薩にはなれない。すべての人を幸せにしようという願いを起こし、それを実行するとき、人はみな菩薩となるのである。
2010.7.17 東松山店 杉田
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