仏教をよりよく知るため:その20
仏の智慧は、私たちに何を教えてくれようとしているのか
キーワード:忍辱(にんにく)
「あなたはすばらしい人だ。どうぞ、早く、それに気づいてください」と、石を投げられても、棒でたたかれても、悪口を言われても、ジッと耐え忍んだ常不軽という菩薩が『法華経』の中に登場するが、こうした実践を忍辱といい、仏教の大事な修行の一つとされているものである。
この「忍辱」は、サンスクリット語のクシャーンティの訳語である。略して「忍」ともいう。
忍は刃の心と書く。刃物でおどされてもたじろがないという、心持ちをあらわす字である。
「忍辱」というのは、必ずしも、直接の恥辱を耐え忍ぶということだけではない。効果の見られないことによって勇気がそこなわれることなく、努力をつづけていくという意味もある。努力することを精進というが、その根底をなすものが「忍辱」の修行なのだ。
キーワード:涅槃(ねはん)
サンスクリット語では、ニルヴァーナという。火が吹き消された状態のことだ。それが煩悩の炎を消し、完全な悟りに入ることを意味することばになったのである。
部派仏教によれば、有余涅槃(肉体があって、菩提樹下で悟られた境地)、無余涅槃(釈尊の肉体がなくなった状態、般涅槃)の二種がある。さらに中期大乗仏教では仏性のことを自性清浄涅槃といい、衆生救済の慈悲活動に挺進する状態むを無住処涅槃という。
現在では涅槃といえば、一般に釈尊の入滅をさす。日本では、釈尊の亡くなられたのは、二月十五日とされ、この日には「涅槃会」の法要を行う寺院も多い。釈尊の涅槃図を掛け『仏遺教経』を読誦するのがならわしとなっている。
2010.7.5 東松山店 杉田
参考文献「仏教と仏事のすべて」
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